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活版、紙選び。

こんにちは、予告しておりました活版カードが今週末の8日(金)正午に発売になります!


▼以前の作成中のお知らせ記事



初めての活版印刷ということで、紙選びからデザインまでけっこう悩みました。今回は紙選びについて、自分でも色々調べたことのまとめの意味も込め、書きたいと思います。



まずはサンプルを購入


今まで持っていたサンプル帳が薄手のものだったので、新しくカード系のサンプルを購入し準備万端で挑みました。選ぶにあたって重視したポイントは...

① イラストに合う質感で、黒が映える白い紙

② 凸版の凹みを感じられ、折れないようしっかりと厚みがあること

③ メッセージを書き込むので筆記具と相性がいいこと



3つに絞りました。

①を満たすものとして クッション紙 / コットン紙 / 古紙含有の工場オリジナル紙 の3つを選びました。どれもふっくらと空気を含んだ感じで軽さがあり、表面は光沢なしでちょっと粗めの柔らかい紙。つい触ってしまいます。ざら、ぽこっとした紙はつい触ってしまいますね。

②の目安として印圧のかかり方としては厚手の方が凹みやすく、工場オススメが300g以上を目安にしました。印刷サンプルも購入したけど、ほんとは相談に行きたかった...。


はい、ここで豆知識です。


|コットン紙|

コットン紙は「コットンパルプ」が材料に使われた紙の総称で、多くのメーカーから出ています。例えばNTラシャもコットン10%以上含有されているのでコットン紙に分類してもいい、はずです。(竹尾さんに確認は取ってませんが。)パルプは紙の原材料で木材(木材パルプ)や古紙(古紙パルプ)などからも作られています。ちなみにコットンパルプの分類は非木材パルプ=木以外の植物、木以外ってざっくりですね。

画材でいうコットン紙はコットンパルプ100%らしいです。コットンパルプは高価らしく含有率にこだわっている方もいると思いますので、絵描きさん相手に「あぁ、これはコットン紙ね!」というと「木材パルプ入ってます。」ということもあるかもしれません。沼。



|無塩素漂白パルプ|

その名の通り、塩素を使わずに漂白したパルプです。別名エコパルプ

原材料の漂白に塩素ガスが使われていたのですが、塩素化合物やダイオキシンが発生したりと環境に負荷がかかっていたそうです。代わりにオゾン・二酸化塩素・過酸化水素などを使用することで発生を抑えた、環境の他に材料にも優しい漂白方法だそうです。

上記3つの中で、コットン紙・オリジナル紙がこのパルプが使用されています。


「紙って使い捨てになりがちだけど、環境に少しでも優しいことってないのかな? 再生紙は色が白さがなくて粗いわりに価格が高いイメージ...。」

という最近の悩みがあったのですが、手の届く範囲で選べる価格帯の紙にあって、とても嬉しかったです。



いざ試し書き

今回のメッセージカードは書き込みを前提としているので、ここが一番気になるところ。

「せっかくメッセージを贈るのだから、筆記具にもこだわりたい。」と筆記具にこだわりたいですが、けっこう万年筆のインクって滲むんですよね。

3種類の結果がコチラ。



クッション紙はコースターなどに使われ水滴を吸いやすいのが特徴というだけあって、滲みました。

厚みは一番ありますし、以前から使ってみたかったんですけどね...。今回は文字を書くに重点を置いているので外しますが、絵柄に重点を置いたポストカードとかなら良さそう。

オリジナル紙、滲みは少なくいい感じです!ですが、この中では一番ラフさがあるためペン先に繊維が引っかかります。小さめでカードでたくさん書くわけではないので許容範囲ではありますが、書き味は△といったところ。

コットン紙、滲みなしの◎。他候補が個性強めだったので惹かれていましたが、メリットの多い紙。高白色でイラストや文字を引き立ててくれそうです。無塩素で優しさもあるし。


という訳で今回はメッセージカードなのでコットン紙にしました。



いろんなペンで書いてみた

届いてから撮影用に筆記サンプルをせっせと作ていたのですが、1枚失敗してしまいました...。勿体ないので他のペンでも書いてみました。最初の万年筆チェックのインクは PILOT 一般書記用 瓶入りの安価で手に入りやすいインクです。



表面|ピンク色は ZEBRA マイルドライナーです。イラストの一部を塗ってもみましたが滲みなし、ワンポイントに色を入れても楽しいかもしれませんね。

あと緑色の文字は HERBIN トラディショナルインク。手持ちの手帳で滲んでしまったので苦手意識のあったインクなのですが、キレイに書くことができました。思わずガッツポーズ。ちょっと薄いのはインクが乾燥してペンに詰まってしまい、水をつけたからです。



裏面|実は裏面にもテストしています。上から 筆タッチサインペン・ZEBRA 蛍光ペン・無印良品 ラインマーカー です。滲みはありませんし、厚手なので裏に染みてることもなかったです。



このサンプルは悩みましたが、あまりに汚いので販売ページには載せていません。ここまで読んでいる紙好きさんにはお知らせしたいと思いましたので、ペンの種類とともに置いておきますね。




今回の紙選びはけっこうサンプル購入から時間がかかったのですが、初めての活版印刷失敗したくない一念で紙について調べるいい機会となりました。

一つ心残りといえば、ベタが多いデザインだったためか思ったより凹まなかったこと。でも細かい字・白抜きもキレイに出してもらったので、職人さんの判断による適切な凹み具合なのだと思います。また違う紙だとどんな違いがでるのか、硬めの紙でも印刷してみたいと欲がどんどん出てきてしまいました。



つい力が入り長くなりました。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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